タガメ
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タガメが卵を背中で守るイメージはただの妄想だった!

タガメ背中で守っているイメージは、ただの妄想だったという真実をご存知でしょうか。たくさんいる水生昆虫の中でも、タガメは特に強靭で獰猛な生き物の種類として広く知られています。一方、タガメは背中で卵を守る優しい一面もある昆虫であり、そのギャップが印象的だというイメージを感じている人もいるでしょう。

しかし、それはあくまでも一般的なタガメの卵を守るイメージにすぎず、これらは誤ったタガメの認識です。この記事を読むと、なぜタガメが卵を自分の背中で守るイメージが私たちになるのかという理由と、それらがただの妄想であったという衝撃の事実を理解できます。

タガメは卵を背中で守らない衝撃の事実

実は、タガメが卵を背中で守るというのは正しくありません。タガメのメスがオスの背中に産むというイメージがあるものの、それは単なる妄想にすぎないということです。実際には、タガメのメスはオスの背中に卵を産むのではなく、水面に出ている植物の茎などに産みます。

ただし、タガメのオスが卵をしっかりと守るという点に関しては合っています。他のメスのタガメが自分たちの子孫の卵を破壊しにくるケースがあるため、タガメのオスがそれを防ぐ役割を担っているのです。

もちろん、その他にもいろいろなタガメのオスは様々な脅威からも卵を守りますが、最も警戒が必要になるのは自分たち以外のタガメのメスといえます。この他のタガメのメスによる卵の破壊行為は自分の子孫を残したいという本能から来るものです。

卵を壊されてしまうと、オスのタガメは自分の遺伝子を残せなくなってしまいます。これにより、タガメたちは急いで子孫を残そうとする習性が働きます。その結果、近くにいるメスのタガメすなわち破壊行為を行った個体とオスはそのまま子孫を残すことになるのです。

タガメのメスは本能的にそれが分かっているので、積極的に自分の子孫ではない卵を破壊しようとします。また、自分が卵を産んだ場所の近くに他のメスも産んでいると、孵化後した後に食料を入手しにくくなるのも他の子孫の卵を破壊する原因の一つです。

すなわち、自分の子どもが少しでも生き残りやすいように、メスはライバルとなりうる他のタガメの存在を抹消するのも目的といえます。また、他のタガメの攻撃以外にも、乾燥から卵を守ることもオスに課された重要な任務の一つです。

私たちが誤認識のイメージどおりタガメのオスの背中に卵が産み付けられるなら、そのような卵を乾燥から守る任務はオスに発生しません。なぜなら、タガメのオスが水中を泳いでいれば、常に潤っている状態を維持できるからです。

しかし、実際には前述のようにタガメのメスは水面より上にある草木の茎などに卵を産み付けるのが一般的です。水中ではなく地上であれば、空気が豊富なので呼吸に関する心配をしなくて済みますが、その一方でタガメの卵は常に乾燥の危険性が伴います。

そのため、オスのタガメは植物の茎などに産み付け垂れた自分たちの卵に水分を与え続けなければなりません。具体的には、タガメのオスが濡れた状態で植物の表面を登っていきます。そして、卵にオス自ら覆いかぶされることによって、体についている水分や体内に取り込んできた水分を卵に与えるのです。

日差しが強いときは、自分が盾になって卵に降り注ぐ直射日光を遮断しようとするなど、タガメのオスはまさに命をかけて卵を守り通そうとします。これほど懸命に乾燥と戦っているのに、卵を背負うイメージを持たれているため、タガメのオスのその苦労はあまり知られていません。

その誤イメージの原因になっているのは、コオイムシという昆虫の存在です。コオイムシはメスがオスの背中に卵を産み付けます。つまり、タガメに持たれているイメージと同じです。

タガメが卵を背中で守るイメージがある理由とコオイムシについて

タガメが卵を背負って守るイメージを持たれているのは、タガメとコオイムシと見た目がとても似ているからです。そもそも、私たちは水辺に棲んでいる昆虫をじっくり観察する機会が多くありません。

昆虫博士を自称するような人を除いては、キャンプなどのアウトドアに行ったときぐらいしか、タガメなどの水辺周辺の昆虫をじっくり目にすることはないでしょう。また、水辺に近づいても必ず水中昆虫を見つけられるわけではありません。

むしろ水中昆虫は警戒心がとても強いので、発見できないことのほうが多いかもしれません。そのため、運良く水中昆虫を目撃できても、十分な知識がないので正確に種類を言い当てるのは困難です。

ましてやタガメに似ている種類のコオイムシなどの昆虫を、素人が正確に区別しようとするのはハードルが高すぎます。実際には違っていても、最もメジャーな種類として一括りにして認識してしまいがちです。

そのような実情が背景にあって、上記の2つのメダカとコオイムシという昆虫を巡る誤解が生まれているといえます。それを理解するには、コオイムシについて知識を身に付けることが大事です。コオイムシの一番の特徴は前述のように卵を背中で育てることであり、それが名前の由来にもなっています。

例えば、コオイムシという名前に漢字を当てはめて考えてみてください。コオイムシは、子を背負いながら育てる虫ということです。また、コオイムシは種類的にはタガメの仲間に該当します。コオイムシは水田やため池などに生息していますし、用水路で繁殖していることも珍しくありません。

ただし、昔と比べると数がかなりのスピードで減っています。コオイムシはかなり珍しい昆虫であるため、ますます存在を知る人は少なくなっているのが実情です。そのような理由もあって、タガメとコオイムシをいっそう勘違いしやすくなっています。

ただし、コオイムシはサイズ的にはタガメよりやや小さめですし色の特徴も異なるので、詳しい人が見れば両者の違いは明らかです。しかし、その他にもコオイムシとタガメとは類似している特徴があるので、一般的な知識しかない人は間違えても不思議ではありません。

たとえば、狩りに使う前足は大きな鎌のようですし、頭部が出ているシルエットもタガメとコオイムシは同じような構造になっています。これらのコオイムシの形状はタガメとも大きく共通しているため、たとえじっくり観察したとしても他の昆虫だと認識するのは難しいです。

さらにタガメとコオイムシは、肉食性で針状の口を突きさす捕食のスタイルなども似ています。このような似ている昆虫の存在が、タガメの誤ったイメージを普及させているというわけです。タガメが卵を背中で守るイメージが強いのは、タガメそっくりなコオイムシがそのような習性をもって卵を守っているからです。
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