ヤゴはトンボの幼虫ですが、羽化するまでの期間は種類によって全然違うということをご存知でしょうか。ヤゴは短い間に成長を遂げてトンボになるものから、長い間じっくりと時間をかけて成長していく種類のヤゴまでたくさんのタイプがあります。
同じヤゴというグループなのに、トンボになるまでの生態が種類によって大きく変わってくるのはヤゴの不思議さでもあります。この記事を読むと、ヤゴがトンボの幼虫だがその羽化の期間の成長過程と様々な種類についてどう違ってくるのかを知る事ができます。
ヤゴというトンボの幼虫の詳しい羽化の成長過程
ヤゴというトンボの幼虫がどうやって羽化して成長していくかについてですが、まずは卵からかえった直後においては前幼虫と呼ばれます。トンボの幼虫の「全幼虫」の段階では、全くヤゴどころか昆虫の形はしておらず最初の脱皮を経てヤゴと呼ばれる姿になります。
トンボの幼虫から成長したヤゴの状態でいる期間は短いトンボの種類で2ヶ月くらいですが、長い種類のものだと数年という期間となっています。トンボの幼虫の種類にもよりますが、10回前後脱皮をすることで成長させ、そしてようやくヤゴがトンボになるための羽化を迎えるという仕組みです。
幼いヤゴの時期においては、自分の体と同程度の大きさの微生物や昆虫を主食とします。ヤゴは意外と俊敏であり、素早く捕食するのが特徴です。ヤゴの成長期には、水面近くで生活していることが多いです。ヤゴの成長期には、水面に落ちた小昆虫なども主食の一つとなっています。
ヤゴの体には、えらが付いているのが特徴です。このヤゴのえらは肛門のすぐ内側に位置する直腸の中に存在しており、肛門から水を吸い込み、水中のに溶けている酸素をとりこみます。そして、二酸化炭素をその水に返して、再び肛門からはきだす形でヤゴは呼吸を行っています。
トンボの幼虫は、どちらかというと水中生活に適した身体になっていることが特色です。そこから、ヤゴの羽化が近づくと主食としている食べ物が変化して「おたまじゃくし」や「メダカ」などの生物を主食とするようになります。最後にヤゴがトンボになるにあたって、脱皮を行って羽化をするというわけです。
トンボの幼虫のヤゴがする羽化そのものは、数十分ほどという短期間で終わります。そのヤゴの成長に関しては、温度やエサの影響を大きく受けやすくなっているといわれていますが日本においてはトンボに関する研究はあまり多くなく、分かっていない部分も存在します。
羽化する期間が数週間のヤゴの種類と数年の種類をピックアップ
トンボの幼虫で羽化するまでの期間が数週間のヤゴの種類は、ウスバキトンボやホソミイトトンボなどのヤゴが該当します。これらのトンボの幼虫の種類のヤゴは、長くても30日くらいで羽化を迎えます。ウスバキトンボのヤゴの特徴としては、寒さに弱い特徴を持っています。
ですので、熱帯地方では稀に越冬することもあるものの、日本国内では11月の寒い時期になると姿を消すようになります。寿命もこのウスバキトンボなどの種類のものは比較的短めです。
ホソミイトトンボのヤゴは、夏型と越冬するタイプに分かれています。ほとんどのホソミイトトンボがヤゴのまま越冬し、成虫を迎えてからは夏型のものは6月に姿を現しますが8月には姿を消してしまいます。ただ、成虫のまま越冬するものも中には存在します。
一方、ムカシトンボと呼ばれる世界的に知られている日本特産種の種類のものがあるのですが、このムカシトンボのヤゴは羽化までの期間が非常に長くて約5年から8年くらいの期間をかけてゆっくりと成長していきます。
あまり、身近で目にすることはない理由はこの種類のムカシトンボのヤゴは川の源流域で、標高の高いところを生息地としているためです。また、日本国内でもポピュラーといわれ市街地の川辺などでも目にすることが出来るオニヤンマのヤゴの場合も、幼虫のヤゴの状態でいる間は2年から4年とこちらもかなり長めとなっています。
大型の種類のヤゴは、成長するまでに時間をかけることが多い傾向が見られます。このように、トンボの種類によってヤゴでいる時間はそれぞれ変わってきます。ただ昆虫観察をするときは、ウスバキトンボなどの種類の幼虫を育てるほうが適しているといえるでしょう。